大画面ナビを身近に。パナソニックからCN-F1D登場

厚いタブレット風の9V型モニターが、センターコンソールの手前に浮いているように見える独特のデザイン。これまでの大画面AVナビとは、まったく異なるスタイルで登場したのが、パナソニック「ストラーダ」の最新ナビ、CN-F1Dだ。発売は6月上旬とまだまだ先だが、3月29日にプレス発表され、その後、期間限定で一般公開もされた。



このデザインは、大画面ナビを幅広い車種に、手軽に取り付けられるよう考えられた形。国産車のオーディオ取付スペースは幅178mm×高さ100mmの2DINサイズが基本(最近はそうじゃないクルマも増えているが)で、7型ナビならそのスペースにぴったり収まるものの、大画面ナビの場合、ナビ本体のほかに画面周囲のパネルが車種別に用意されていて、それも別料金で購入しなければならない。

例えばイクリプスの場合、アルファード/ヴェルファイアに9V型AVナビ・AVN-SZX05iを取り付けようとしたら、2万円のアルファード/ヴェルファイア専用取付キットが必要だ。また、取付可能車種は専用取付キットが用意されているクルマに限られる。イクリプスAVN-SZX05iの場合、取付可能なのは約30車種だ。
パナソニックCN-F1D。2DINスペースに専用キットなしに9型大画面を装着できる
その点パナソニックCN-F1Dは、基本的にセンターコンソールに2DINの取付スペースがあれば取付可能。取付位置が低いとATレバー等に干渉して装着不可の可能性もあるため調査を進めているが、発表会の時点で144車種への取付に対応し、今後も増えていくだろう。しかも、取付に際して、専用キット等のオプション品は要らない。本体(市場想定価格は17万円前後)と取付費で、大画面ナビを導入できるのだ。
メニュー等の操作ボタンはモニター上面にある

しかも大画面でブルーレイディスク(BD)も見られる。BDレコーダーの家庭への普及が約5割に近づいた今、クルマでもBDを見たいというニーズは増えており、そのニーズに応えたものだ。現時点でBDが見られるカーナビは、市販モデルではこのCN-F1Dと、同じくパナソニックのCN-RX02D/WDだけだ。
モニターを手動で倒すと中にディスクやSDのスロットがある
さて、このCN-F1D。これまでに無い形のカーナビだけに賛否も分かれている様子。発表会に来ていた何人かの知り合いに感想を聞いてみたところ、ネガティブな意見もあったのでいくつか紹介しておくと…。
  • ・17万円(市場想定価格)もするカーナビなのに、モニターを倒すのが手動なのはどうかと思う。電動で動いてくれたら…。
  • ・モニターの首を振れるようにして欲しかった。
  • ・せっかくBDが見られるんだからせめてXGAモニターを使って欲しかった。VGAじゃね。
  • ・モニターの裏のプレーヤー部にカバーがなくスロットむき出しなのが気になる。
  • ・BDオーディオのハイレゾは再生できるんだからUSBのハイレゾ音源も聴けるようにして欲しかった。
などなど。

理想を求めれば、ごもっともな話ばかりだ。

ただしCN-F1Dの目的は、大画面ナビを幅広いユーザーに、比較的リーズナブルな価格で提供することである。上記のことを実現するにはコストが大きくかさむ。例えばXGAモニターは当初検討したそうだが、20万円を超える価格設定になってしまうし、モニターを電動にすれば、さらにコストはかさむ。また7型のインダッシュモニターでも走行中の振動によるモニターの揺れが気になるモデルもあったが、9型の大画面を電動で動かすとなったら、さらに強力な振動対策が求められ、そこにもコストがかかる。これでは大画面をリーズナブルにという本来の目的からは外れてしまう。個人的には、この形はアリだと思う。ただしUSBのハイレゾ音源には対応して欲しかったが。
モニター裏のレバーでロック解除してモニターの高さ調整ができる
実際に運転席に座って見てみると、大きなモニターに遮られ、顔を近づけて覗き込まない限り裏側はまったく見えないから、ストッロむき出しなのは気にならない。それよりも、フローティング構造により、センターコンソールのパネル面より最低でも5cmほど(調整可能)にモニターが手前にせり出してくるため、画面がより大きく見えるほうがありがたい。感覚的には、センターコンソールのパネル面に装着した10型クラスかそれ以上だ。

また、画面がドライバーに近くなるため、手が届きやすい。大画面化によりメニューアイコンが大きくなったこともあって、操作はものすごくやりやすいし、分かりやすい。さらにリアシートに座って運転席と助手席の間から覗き込んでも、わりと大きく見える。リアモニターをつけなくても、乗員みんなで同じ映像を共有することも可能だ。このモニターをパナソニックでは「DYNABIG(ダイナビッグ)ディスプレイ」と名付けている。
フロントインフォディスプレイとの連携も可能
ナビ機能は、基本的にCN-RX02D/WDだが、安心運転サポートがより充実した。制限速度や一時停止等を画面と音声で教えてくれるエリアが、これまでの1016市町村から1340市町村に拡大したほか、指定方向外進行禁止の補助看板にも対応。また標識拡大表示のオン/オフもできるようになっている。もちろん、オプションのフロントインフォディスプレイとも連携可能だ。
Android Autoに国内の市販カーナビで初めて対応
Android Autoに市販カーナビとして初めて対応したのもひとつのウリ。GoogleマップやGoogle音声検索も使えるのだが、ナビに関しては内蔵のもののほうが優秀だし分かりやすいので、わざわざGoogleマップを使うこともないだろう。それよりも定額音楽配信のGoogle Playミュージックやハンズフリー通話で活用するものと思えばいい。
Googleマップも使えるが内蔵ナビと比べると案内が物足りない
Android Autoのホーム画面
大画面ナビが欲しいけど高くて手が出ないと諦めていた人には朗報だし、車内でBDを見られるのも魅力。発売は6月上旬の予定だ。

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