音質に満足が9割。東京オートサロンで高評価を得たクラリオンFDSとは?

1月15日から17日までの3日間、幕張メッセで行われた東京オートサロン2016で国内初お披露目されたクラリオンの新世代フルデジタルサウンド(FDS)。2台のデモカーで試聴を行い200名以上の客からアンケートをとった結果、総合的な音質に関して満足という回答が約9割(大変満足52.4%+満足37.3%=89.7%)に達したという。そんなクラリオンFDSの魅力について、開発を担当した上原さんと井上さんの両氏に話を聞いてきた。

ーオートサロンでは、すごい評判がよかったみたいですね。

昨年末、皆さんにBRZの音を試聴していただき、さまざまな意見を聞き、その意見を取り入れた上で、イベント直前まで調整した結果だと思います。もう、大阪オートメッセまで何もいじらず、このまま持って行こうと思っています(笑)(上原氏)

※昨年末の試聴会時のインプレッションは、クラリオンFDSのスペシャル・コンテンツで読むことができる。

ー確かに昨年末のBRZの試聴会では、FDSのポテンシャルは確認できたものの、高域にきつい部分があったり、音場の作り方がちょっと不自然だったり、気になる点もありました。それがオートサロンではすべて解決されていて、良質なハイレゾ再生の音を聴いているような緻密でキレのいい音が聴けました。ゴルフのほうは、年末のBRZのような気になる部分が残っていましたけど。

技術開発本部コア技術開発部の上原氏
調整が決まった以外に、年末の試聴会からスピーカーのエージングがかなり進んだというのも大きいかと思います。ゴルフのほうは、実はインストールが終わってクルマが戻ってきたのがオートサロンの直前で、調整する時間がほとんど無かったんです。また、ゴルフはノーマルのインテリアの見た目を変えず、純正スピーカーと入れ替える形でインストールしましたから、取り付けの制約が大きかったのも確かです。しかも、これはオートサロンの後で気づいたんですが、純正グリル内に仕込んだトゥイーターの付属グリルが付けっぱなしだったんですよね。つまり、純正グリルと付属グリルの2重にトゥイーターのグリルが付いていたんです。どうしても高域のピーキーさが取れないなぁと思っていたんですが、付属グリルをとることでずいぶん改善されました。ゴルフもエージングが進みましたし、オートメッセでは、もっといい音をお聴かせできると思います。(上原氏)

ーそれは期待しています。でも、サブウーファーの鳴りっぷりは、BRZよりもゴルフのほうがよかったですよね。ローエンドが伸びていて、抜けのいい低音でした。

同じ傾向の音のデモカーが2台あってもしょうがないので、取り付け方も含めて傾向をガラッと変えたんです。ゴルフのほうは、ラゲッジルームがBRZよりも広いので、サブウーファーのエンクロージャーを大きくしています。60リットルくらいの容量でしょうか。やはりエンクロージャーが大きいほうが、のびのびと鳴ってくれますね。(上原氏)
ゴルフのサブウーファーボックスはバスレフ式。容量も大きい
クラリオンFDSのしくみについては、ここでも簡単に触れているが、デジタル信号を一度もアナログ信号に戻すことなく、デジタル信号でスピーカーを駆動している。そのキモとなるのは、通常のデジタル信号を複数の信号に分割して、スピーカーを直接駆動できる信号に変換する信号処理部と、複数のボイスコイル(Z17の場合は6個)を持つFDS専用のスピーカーだ。実は、クラリオンがFDSを出すのは初めてではなく、2012年末に2DINサイズのカーナビとフルデジタルスピーカーをセットにしたZ8/Z17F(288,750円)というモデルをリリースしている。

マーケティング部の井上氏
実は、FDSの車載専用LSIは2011年には遺髪を始めて、前モデルに搭載するつもりだったんです。しかし間に合わなかったので、前モデルには民生のLSIを採用していました。その後、一旦、基礎設計を見直して昨年の秋に完成したのが、今回のFDSに搭載した自前の車載専用LSIです。以前のFDSは256倍オーバーサンプリング+11MHz駆動でしたが、今回のLSIは24MHzの超高速駆動(世界初)を実現し、96kHzのデジタル信号を直接入力できます。また、効率も良くなったので従来のFDSの4倍の高出力です。それでも、消費電力は一般的なアナログシステムの5分の1程度です。(井上氏)
デジタルプロセッサーのZ3(125,000円/税別)はコントローラーとトゥイーターを付属
ー従来のFDSはヘッドユニット(AVナビ)とスピーカーのセットでしたが、新しいFDSはプロセッサーとスピーカーが別売りですね。でもトゥイーターは、17cmスピーカーとセットではなく、プロセッサーに付属している。これはなぜですか?

スピーカーの駆動回路は今回、スピーカーと一体化させました。だから、前モデルのようなブラックボックスが無くなり、インストールがしやすくなっています。配線も従来モデル同様、純正のスピーカーハーネスを利用できます。ただトゥイーターに駆動回路を一体化させると大きくなってしまうので、トゥイーターの駆動回路だけはプロセッサー本体に搭載しています。だから、トゥイーターはプロセッサー側に付属しました。(井上氏)
17cmスピーカーのZ7(87,000円/税別)。駆動回路を内蔵

ープロセッサーを見ると、アナログ出力がありますが、これは?

今回、前モデルにはなかったFDSのサブウーファーを用意したので、サブウーファーもFDSを使っていただけるとありがたいのですが、すでにサブウーファーを持っている人もいらっしゃるでしょうし、サブウーファーはとりあえず手頃なパワードタイプでという方もいらっしゃるでしょうから、アナログのサブウーファーも使えるように汎用性をもたせてあります。(井上氏)

ー今回、試聴ではAVナビを改造してデジタル出力を付けたものをヘッドユニットに使っていましたが、ヘッドユニットについてはどうお考えでしょう。

ヘッドユニットに関しては、まだはっきりとは言えませんが、用意する方向で考えています。ただ、今は純正システムを外すのが難しいクルマが増えていて、そんなクルマへも取り付けられるように、2DINサイズのAVナビではなく、コンパクトなプロセッサーにしたんです。BRZはプロセッサーを助手席の足元のカーペットの裏に設置していますが、まったく邪魔にならずに設置できますし、スピーカー入力を装備しているので、純正システムの出力も接続できます。また光/同軸のデジタル入力とUSBを装備しているので、デジタル出力を持つ携帯デジタルプレーヤーや、スマホ&タブレットを接続してフルデジタルサウンドを楽しむこともできます。最大96kHz/24bitのハイレゾ音源の再生に対応していますから、iPhoneでもLightning-USBカメラアダプターとハイレゾ再生アプリがあれば、ハイレゾ再生が楽しめます。(上原氏)
iPhone内のハイレゾ音源もフルデジタルサウンドで再生可能
オートサロンでは、できるだけ多くのお客に試聴してほしいということで、時間的な制約がありハイレゾ音源での試聴は行っていなかった。おそらく大阪オートメッセでも、残念ながらハイレゾ音源での試聴はできないと思われるが、ハイレゾ音源を聴くと、CDでの試聴とは音場の空気感がガラリと変わる。音像と音像の間にある隙間が埋まる感じ。音像がより立体的に感じられるし、奥行き感も明確になる。文句なしにいい音だ。

大阪オートメッセ2016は、2月12日から14日までの3日間、インテックス大阪で開催される。クラリオンのブースは、6号館Bゾーン。おそらく、オートサロン同様、試聴時間を予約する方式だろうから、FDSの音を聴いてみたい人は、オートメッセの会場へ行ったらまずはクラリオンのブースで試聴時間を予約することをお勧めする。なお、デジタルプロセッサーの調整はタブレットでできるが、このアプリの出来もいい。おそらく、その使い勝手も会場で体験できるはず。デモカーの近くでタブレットを持っているクラリオン関係者がいたら、声をかけてみるといい。

 調整アプリの動画はこちら

クラリオン
大阪オートメッセ2016