HUD採用のカロッツェリア新サイバーナビ登場!

TVニュースやWeb等ですでにバンバン紹介されているので、すでにご存じの方も多いと思いますが、カロッツェリアのサイバーナビがモデルチェンジしました。

昨年、フルモデルチェンジしたサイバーナビは、クルーズスカウターユニット(カメラ)に映った映像とルート等の案内画像を重ね合わせることで、他にはない道案内を実現しましたが、新サイバーナビは、そのAR(拡張現実)の世界をさらに進化。新開発のHUD(ヘッドアップディスプレイ)にルートなどのAR情報を表示し、そのHUD越しに見える実際の風景に案内情報を重ね合わせることができます。

ナビ本体は従来通り、1DINサイズのインダッシュモニター+1DINナビのタイプと2DIN一体型の2タイプで、それぞれにHUD+スカウターユニット付属/スカウターユニットのみ付属/ナビ本体のみの3グレードを用意。型番は以下の通りです。

AVIC-VH99HUD。実売価格は32万円前後の予想
■1DIN+1DINタイプ
AVIC-VH99HUD(HUD+スカウターユニット付属)
AVIC-VH99CS(スカウターユニット付属)
AVIC-VH99(ナビ本体のみ)
AVIC-ZH99HUD。こちらの実売価格は30万円前後か

■2DIN一体タイプ
AVIC-ZH99HUD(HUD+スカウターユニット付属)
AVIC-ZH99CS(スカウターユニット付属)
AVIC-ZH99(ナビ本体のみ)

価格はすべてオープンですが、実売価格はAVIC-VH99HUDで32万円前後、AVIC-ZH99HUDが30万円前後になりそうとのこと。スカウターユニットのみのタイプは、それぞれ8万円ほど安くなります。

HUDユニットはサンバイザーを外して装着
このHUDユニットですが、運転席のサンバイザーを外し、その穴を利用して装着します。案内情報を映すコンバイナーという部分は幅260×高さ75mmの大きさ。案内情報は、コンバイナー越しに、実際の風景と重なって約3m先に見えるます。

表示は、一般的なHUDのように液晶ディスプレイに反射させるのではなく、レーザーを使用。そのため、表示部が白くぼやけることなく、鮮明にAR情報を描きます。そのAR情報ですが、HUDドライバーモード、HUDハイウェイモード、HUDマップモードという3つのモードを用意。少ない視線移動で瞬時に情報を把握できるよう、各モードごとに必要な情報に絞ってわかりやすく表示します。
HUDドライバーモード
ARスカウターモードも進化。新機能として、速度制限標識を認識して、画面表示するようになりました。検知した標識は、ナビが自動的に登録。標識の位置は地図上で確認できるとともに、効果音を設定することも可能です。またルートの表示や適正車間距離も、よりわかりやすい表示に変わっていますし、レーン移動検知は車線をまたいだ状態が続いたときに効果音で知らせてくれるようにもなりました。

昨年モデルに初搭載され好評のロードクリエイターなど、従来あった機能はそのまま踏襲。3年間無料で通信機能が使える通信モジュールを同梱している点も変わりありませんし、最大3年間は追加料金無しで最新の地図データに更新できます。

通信機能では、変化する駐車場の混雑状況を表示するパーキングウォッチャー機能を搭載。もちろん全国約70万キロにおよぶ道路を対象としたスマートループ渋滞情報も活用できますので、質の高いルート探索が行えます。昨年モデルを1年使ってみて、到着予想時刻の正確さには脱帽。わずかに速く着くことはあれ、最初に提示された到着予想時刻よりも遅れたことは、一度もありませんでした。

ユーザーから不満が上がっていた動作スピードに関しては改善が図られ、とくに電源オンから地図が立ち上がるまでの起動時間に関しては、昨年モデルの約30秒から約10秒へと、大幅に短縮しています。ただし、この高速化はハードの強化で実現したもので、昨年モデルのブログラムバージョンアップでは、今年モデルほどの高速化は不可能とのことなのであしからず。

この新サイバーナビの発売はHUDユニット付きのモデルが7月下旬、それ以外は5月下旬の予定。早くも話題になっているので、昨年モデルのように品薄が起きるかもしれませんね。

と、まあここまでは一般的な紹介ですが、ここからはHUDユニット搭載車に短時間乗ってみた感想を。まず、HUDユニットを搭載したのは本来の運転席では無く助手席で、自ら運転したわけではなく、他にドライバーがいる状態でHUDユニットを見た感想です。

技術的には凄い! と思いますが、正直なところ、自分のクルマに付けるとなると、あまりそそられませんでした。まず、装着するのにサンバイザーを外さなければいけないのが第1点。クルマが純正で持っている機能をとってしまうのは、どうにも納得がいきません。

もちろん、HUDユニットにも小さなサンバイザーを用意していますから、正面からの日差しは防げるかもしれません。試乗当日は曇り空だったため、それを試すチャンスはありませんでした。しかし、純正のサンバイザーには横からの日差しを防ぐという機能もあり、僕はけっこう多用します。しかし、それには対応していません。このあたりは、ぜひクリアしてもらいたいものです。

HUDハイウェイモード
ふたつ目に、コンバイナーが常に視界に入ること。とくにコンバイナーの下のラインが気になります。長く乗っていると慣れて気にならなくなるともいいますが、短時間の試乗では慣れるまでに至らず、違和感だけが残りました。

そもそも、ドライブは目的地に着くことが目的ではなく、周囲の景色楽しむのも醍醐味のひとつだと思います。しかしHUDがあることで、窓の外の視界は制限されてしまいます。もちろん、コンバイナー越しに景色は見えるのですが、やはりHUDが間に入って見える景色と素の景色では、感動が違うと思うのです。そんな感動を大切にするか、案内を重視するか、その辺は二者択一になりそうです。

もう一点は、細かい道での案内は、けっしてわかりやすいと思えないということです。今回は首都高、一般道とも広い道での試乗でしたので、わかりにくいと感じることはありませんでしたが、昨年モデルのARスカウターモードは、正直、細かい道路が苦手で、何度か道を間違えることがありました。

例えば2本道路が直角ではなく、変則的な角度で交わり、しかも右折後すぐに左折するようなケース。また、5差路、6差路、7差路など、変則的な交差点でも、入る道を間違えたことがあります。そんな場所では、俯瞰の交差点拡大図が最もわかりやすいことを実感しました。今回、そんな道で試すことはできなかったのですが、ARスカウターモードでそんな経験をしただけに、若干の不安は残ります。

最後に窓越しに見える道とHUD越しに見える案内が、どうにも一体化したように感じなかったこと。写真で撮ったりすると、うまく見えるように位置を変えたりしますので、わりとマッチしているように見えますが、肉眼ではマッチしませんでした。

もっとも、試乗車は助手席にHUDを装着するという特殊な状態の上に、見る人に合わせてセッティングしているわけでもありませんので、ドライバーシートでドライバーの座高等に合わせた上でしっかりとセッティングすれば、外の景色とAR情報が融合する可能性はなきにしもあらず。つまるところ、ドライバーに合わせてしっかりとセッティングしたクルマに長時間乗って、景色と情報が融合するか、HUDの違和感が消えるかを確認するしかないでしょうね。

いずれにせよ、技術的には優れていて、カロッツェリアが長年積み重ねてきた精度技術やレーザーディスク等で得たレーザー技術…。さまざまな技術があったからこそできたものだと思います。理想をいえば、コンバイナー無しで、ガラスにAR情報を映し出すことでしょうが、市販は難しい…となると、いずれどこかのクルマメーカーの純正に採用されるために、先行して市販市場導入という意味合いが強い気がします。

カロッツェリア


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