【ATTT12】車載ディスプレイとスマホの連動が進む

市販ナビは、スマートフォンとの連携がようやく進んできたが、純正ナビはいま、スマートフォンを使用して車載ディスプレイをカーナビ化する技術の開発が進行。ATTT(オートモーティブ・テレコミュニケーション・テクノロジー・トーキョー=国際自動車通信技術展)にもいくつかのメーカーが参考出品していた。

車載機とスマホがWiFiで連動
まずトヨタ。東京モーターショーにも参考出品していたこのシステムは、スマートフォンと車載ディスプレイ間をWiFiで通信し、スマートフォンのアプリを車載ディスプレイのタッチパネルに表示&操作できる。つまり、スマートフォンのナビアプリが車載ディスプレイに映って案内をしてくれるし、操作はスマホの小さいディスプレイではなく車載機の大きなタッチパネルでできるというわけ。アプリを開発すればナビに限らずさまざまな機能が使えるし、機能のアップグレードはスマホのアプリでできるため、従来のカーナビのように本体丸ごと買い替えなくて済み、ユーザーの懐にも優しい。開発のスピードアップにもつながる。という具合に、いいことずくめだ。

電気の消し忘れや施錠のチェックを車内からできる
今回は東京モーターショー時よりも、さらに進化。自宅の施錠や電灯のON/OFFができる機能や、動画再生機能などを追加していた。動画再生は、東京モーターショー時に要望が多かった機能だそうで、映像はワイヤレスでスマートフォンからディスプレイに送っているのだが、解像度は十分だし動きもスムーズ。これができるのなら、スマホの通信を使ってYouTubeやインターネット・ラジオの視聴も期待してしまう。スマホの充電が非接触でできるのは、モーターショー時と変わらない。今後は、より進んだホームセキュリティへの対応も考えているようだ。

ホンダが参考出品していたディスプレイコンポは、今にも実用化できそうなシステムだ。車載機側は5.8型クラスのワイドディスプレイを搭載した2DIN機で、こちらにはナビ機能は無し。ナビ機能はDockコネクターで接続したiPhoneのアプリに持たせ、車載機のタッチパネルで操作する仕組みだ。車載機とiPhoneを接続した時、iPhone側での操作はできなくなり、すべて車載機側で操作する。面白いのは、車両側から車速信号をとってiPhoneに入力し、測位性能を高めていること。GPSはiPhone内蔵のものを利用する。iPhoneの通信を利用して、ホンダがインターナビで活用しているプローブ情報による渋滞情報も取得できるし、シーニックルートなど一部の機能は使えないようだが、渋滞等を考慮しサーバー側で計算したエコルート等の取得も可能。防災情報もリアルタイムに飛び込んでくる。スクロール等の操作も、わりとスムーズに動いていて、わりと早くホンダのディーラーオプション品「ギャザズ」に仲間入りするかもしれない。

ホンダのディスプレイコンポ
同様のシステムは、ナビタイムでも参考出品していた。こちらはAndroidのスマートフォンを利用。USB接続で、車載ディスプレイとスマートフォンの連動を実現している。操作は車載ディスプレイ側でもスマートフォン側でもできる。スマートフォンのアプリを車載ディスプレイで操作&表示できるシステムは、ミラーリンクなどさまざまな規格が立ち上がっているが、ナビタイムはミラーリンクではない別の規格を使用。トヨタやホンダも、独自の別規格とのことだ。今は、どの規格が優勢か混沌とした状態なので、様子見をしているメーカーも多いようだが、今後は、車載機がナビ機能を持たず、スマートフォン側のアプリでナビを始めとしたさまざまな機能を持つというスタイルに変わっていくであろうことは確実。もちろん、車載機がナビ機能を持つ従来のHDDナビやメモリーナビが無くなるとは思わないが、今後のカーナビの流れとして、押さえておきたい。
ナビタイムもスマホと車載ディスプレイの連動システムを参考出品