アルパインがTASに参考出品したグリーン・プレミアム・サウンドシステムとは?

1月13〜15日に開催された東京オートサロン2012で、アルパインが参考出品した「グリーン・プレミアム・サウンド・システム」の詳報です。

「グリーン・プレミアム・サウンド・システム」は超コンパクト&軽量のサブウーファーと、厚み27mm、重さ470グラムの軽量&薄型ウーファー+トゥイーター、超軽量&コンパクトなDSP内蔵アンプの3点構成。どれも画期的な内容です。

フレッシュ・エアー・サブウーファー
フレッシュ・エアー・サブウーファーと名付けられたサブウーファーは、特許出願中の技術ということで、細かい部分までは教えてもらえませんでした。が、どうやらクルマのエアー・ベンチレーターを利用して音を外に逃がす仕組みのようです。それによって、ユニット全面から出る音と背面のから出る音を遮断。無限バッフル状態、もしくは車内がサブウーファーのエンクロージャーのような状態になり、その中で音を聴くという感じになるわけですね。これによって、60Hz以下の低音を効率的に再生できるのだそうです。スペックをみると、20〜30Hzあたりまで音圧が確保され、従来タイプに比べると10dBほど高い音圧が得られています。フィット・ハイブリッドのデモカーで試聴しましたが、かなり低い周波数まで、しっかりと再生していました。

フィットに装着した状態
ユニットのサイズは16×23cmの楕円スピーカー程度でしょうか。とにかくコンパクト。容積は2.5リットルで、従来のOEM(クルマメーカーへの純正供給品)サブウーファーと比べ、86%も容積が減っているそうです。デモカーのフィットの場合、タイヤハウスの出っ張りと、リアハッチの間の隙間にインストール。デッドスペースなので、荷室容量はほとんど犠牲になっていません。これで低音は、従来型サブウーファーよりも低い周波数までしっかりと再生できるわけですから画期的です。

ウーファーは天井にインストール
軽量&薄型ウーファーとトゥイーターも、デモカーにインストールされていました。ウーファーの装着場所は、なんと天井。厚さ27mm、重さ470グラムのスリム&軽量ボディだからできるワザですね。このスリム化は、サブフレームを不要にした構造で実現。それにより、フラットで広い再生帯域を実現したそうで、特性図を見ると、多少のピークはあるものの、5kHzあたりまで80dB以上の音圧を確保しています。トゥイーターとのつながりの調整の自由度も高まりますね。
これが天井に装着したウーファー。厚みわずか27mm
トゥイーターはAピラー付け根のダッシュボードに
デモカーは頭の上にスピーカーがあるため、試聴前は「大丈夫かな?」と半信半疑でしたが、音場感が自然です。頭の上にスピーカーがあることなど感じさせず、ダッシュボードの上に自然に音場が展開していました。これはトゥイーターの効果でしょう。このトゥイーターは4cm口径で低域側の再生範囲を拡大。メモするとの忘れたので、記憶があやふやですが、確かウーファーとトゥイーターのクロスオーバーポイントを300Hzか400Hzに設定していると言っていたと思います。もうトゥイーターではなくミッドレンジですね。もちろん、高域もスッキリと伸びています。ということはミッド・トゥイーターと呼ぶべきでしょうか。これをダッシュボード上で再生しているおかげで、ダッシュボード上に自然な音場が展開しているのだと思います。
逆ドーム型の4cmミッド・トゥイーター
また定在波が感じられず中低域のヌケがいいのは、天井にウーファーを取り付けてある効果でしょうか。ドア・ウーファーの場合、センターコンソールなどの影響で定在波が発生し、500〜700Hzあたりがもやもやするケースが多いのですが、それがありません。このフィットの場合、ルーフの内装をカットして、スピーカーの背圧を逃がしているそうですが、ミニバンなど、もっと天井の高いクルマなら、内装をカットしなくても装着できる可能性は在ります。またサブウーファーも含めて、純正システムへの採用も十分に考えられますね。

DSP内蔵パワーアンプは、ちょっと大きさがわかりにくいかもしれませんが、15cm角程度でしょうか。とにかくコンパクトで軽量。これなら、置き場所に苦労しません。その中に内蔵しているパワーアンプは45W×2+28W×6の8ch分。入力は4chですから、フロント2ウェイマルチ+リア+サブウーファーを鳴らすのにちょうどいい構成です。出力は大きくありませんが、クルマの中では十分。デモカーは天井のウーファーがリスナーに近いのも、有利に働いていました。DSPは120バンドイコライザーなどを搭載しています。もっとも、デジタル補正には、さまざまな機能を追加できますから、このままで出てくるとは限りません。発売時期に合わせて、必要な機能を搭載してくることでしょう。

超軽量&コンパクトな8ch DSP内蔵アンプ
純正オーディオに適しそうな、この「グリーン・プレミアム・サウンド・システム」ですが、市販も考えている模様。ただし発売時期は今年ではなく来年以降になりそうです。もちろん、このままの形で出てくるわけではなく、もっと市販モデルらしいデザインになると思われます。そのかわり今年は、昨年、参考出品していたPXA-H800をいよいよ発売する模様。今年のアルパインのブースには展示していませんでしたが、海外ではすでに発売済みで、オートサロンでは尾林ファクトリーのカスタムカーにも装着されていました。どうやら、日本での正式発表は4月頃になりそうな気配ですので、PXA-H800の発売を待ち望んでいる方は、しばしお待ちを。

またプラズマクラスター内蔵のリアビジョンも参考出品。これは、すぐにでも発売されそうな気配です。リアビジョンと空気清浄機を1度の手間で装着できるわけですから、これはいいアイディアですね。しかもキレイな空気が、クルマの中心の天井から降り注ぐわけで、装着場所としてもベストです。従来モデルのTMX-R2200とサイズも変わっていないようです。
リアビジョンにプラズマクラスターを内蔵
昨年は福島県いわき市の本社が、東日本大震災の影響を受けるなど、大変な年だったアルパインですが、本社機能も復帰し、今年はやる気満々です。


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