ソニー「ナブユー」NV-U37とU35の違いを徹底検証

東日本大震災の影響もあって、発表はしたものの未だに発売日が未定のソニーの新型「ナブユー」NV-U37。しびれを切らして従来モデルのU35に手を出す人もいると思うが、ちょっと待った。まずはU35とU37の違いをよく把握してからでも遅くはない。(2011/4/13)


まずデザイン。ボディサイズはU35が幅112×高さ79×奥行17.8ミリなのに対してU37は幅112×高さ79×奥行19.7ミリ。幅と高さは同じだが、U37のほうが若干、厚みを増している。重さもU35が約176グラムで、U37が約182グラムと、わずかに重くなっている。

ソニー・ナブユーNV-U37(ブラック)。発売日は未定。価格は実売で37,000円前後になりそう
ボディカラーは、ブラック/ホワイト/オレンジの3色。ラインナップ自体は変わらない。ただし、U35とはデザインも配色も変わっていて、たとえばオレンジなら、画面周囲のフレームがオレンジで、背面はブラックという具合。U35のオレンジは、画面周囲のフレームがブラックで背面がオレンジだった。またホワイトはU35では画面周囲が白で、背面に黄緑を組み合わせていたのだが、U37は画面周囲も背面も白一色になっている。

画面サイズは縦横比3:4の3.5型で、内蔵フラッシュメモリーの容量は8GB。このあたりのスペックは変わらない。が、内容は相当に進化している。まず液晶パネルだが、U37は半透過型液晶に変更。通常の液晶パネルはバックライトを頼りに液晶の映像を見ていたわけだが、半透過型液晶は太陽光を通し、反射した光をバックライトの代わりに利用できる。そのため、屋外でも画面が見えやすいし、太陽光の下ではバックライトを暗くできるため、バッテリーの消費を節約できるというわけだ。

スタミナモードで約9時間使える
U35のスタミナモードは通常、画面が消えていて案内時や操作時に画面が点くという設定で最長約6時間のバッテリー持続時間だったが、U37ではバックライト=ミニマム/液晶=オン/音声ガイド=無しのスタミナモードで、バッテリー持続時間は約9時間まで伸びている。なお、バックライト=オフ/液晶=オフ/自動ガイド=無しのスーパースタミナモードでは、U35もU37も約11時間と変わらない。また本体のバッテリーが無くなったときに、USBからの充電ができるようになったのも、仕様面で変更された部分。そのため、パソコンとUSB接続して充電したり、USB接続の予備バッテリーからの充電も可能だ。

日時指定ルート探索が便利
カーナビ機能ではオービス案内が新たに加わった程度。他は大差ないが、地図データは2010年4月締めの最新データに変わっているし、渋滞統計情報や1331エリアの詳細市街地図を収録するなど、充実した内容だ。とくに、渋滞予測情報を加味した日時指定ルート探索ができるので、現地に到着したい時刻があったときに、何時頃出発すればいいのかの目安が事前にわかるのがうれしい。





自転車ナビの機能は大きく進化した。まず自転車モードでのルート探索。U35の自転車ルート探索は、一方通行を考慮せず最短のルートを探索する程度の対応だったが、U37では自転車モードだけで「おすすめ」「楽ラク」「大通り」「いつもと違う道」「サイクリングロード」「トレーニング」「裏通り」「距離」という8パターンのルート探索条件設定を用意した。

自転車のルート探索条件は8パターン
「おすすめ」は、距離優先&いつも通る道。「楽ラク」は上り勾配がゆるい道路を優先するルート。その逆が「トレーニング」で、上り勾配がきつい道路を優先したルートを探索する。「大通り」は幹線道路を優先してルートを探索。逆に「裏通り」を選べば、幹線道路を回避したルートを探索できる。「いつもと違う道」は、通る頻度の低い道を優先してルート探索。「サイクリングロード」は、文字通り近くにあるサイクリングロードを優先してルート探索を行い、「距離」は最短距離のルートを探索できる。

ルートの標高変化や勾配がわかる
ここで気づいたと思うが、U37の地図には標高のデータまで組み込んでいる。これはU35の地図には無かった情報だ。そのため、勾配が緩い道/きつい道を選んでルート探索できるわけだが、ルート探索&案内時に、標高変化のグラフを表示できるようになったのも新しい。TVのマラソン中継で時々、コースのアップダウンをグラフ表示するのを見ることがあるかと思うが、ちょうどあんな感じだ。サイクリングロードもU37から新しく加わったデータ。出発地と目的地の近くにサイクリングロードあれば、サイクリングロードを通るルート探索ができるし、サイクリングロードを目的地にしてサイクリングロードまでの最短ルートを探索することもできる。収録済みのサイクリングロードは多摩川サイクリングロードを始め、人気の高い全11カ所だ。

U35同様、IPX5相当の防滴設計。完全防水では無いが、軽い雨に降られたくらいなら、問題なくアウトドアで使える。自転車用のクレードルは別売(NVA-BU2/オープン価格)。ボタンをワンプッシュすればクレードルから本体を取り外すことができるので、自転車から離れる場合は、本体を取り外して持ち運べばいい。

徒歩モードでは従来通り、公園や地下道、歩道橋、商店街などを通る、徒歩優先のルートを案内する。「おまかせ」「屋根を優先」「楽な道を優先」という3パターンのルート探索条件を選択できるのも従来通りだ。また電子コンパスを内蔵しているので、GPSの電波が受けられない場所でも、自分がどちらの方向を向いているのかがわかるのもU35と同じだ。

電子コンパスも内蔵
その上で、U37にはアウトドア地図が加わった。これは国土地理院発行の2万5000分の1地形図。等高線が入った地図で、慣れてくると、等高線を見て地形をイメージできるため、山登りにはこの地図とコンパスがよく使われる。つまりU37は、登山趣味層という新たなニーズにも対応したのが、ひとつの大きな特徴。山登りにU37を持って行けば、地形図上で自分が今いる場所を確認できるし自分が向いている方向わかる。地形図を読む勉強をしておけば、急斜面なのか傾斜が緩いのかなど、さまざななことが地図を見ただけで判断できるので、山登りの強い味方になる。
等高線入りのアウトドア地図を収録
アウトドア地図は、全国の人気エリア22カ所をインストール済み。プリインストールしている以外のエリアも、ソニーのWebサイトから無償ダウンロードできる予定だ。アウトドア地図の使用時は、ノースアップで表示。目的地を設定しておけば、ルートは引かないものの、目的地の方向を表示できるし、目的地までの直線距離もわかる。またルートインポート機能を使えば、アウトドア地図に自作の参考ルートを表示することもできるし、ルートログ機能で、通った軌跡をPetaMapなどの地図上にエクスポートすることもできる。旅の記録を残しておくのにも便利だ。

このように、U35に比べ、オービスデータ、標高データ、サイクリングロード、アウトドア地図など、新たに追加されたデータが多数ある。当然、省略された部分もあるわけで、U35の詳細市街地図では個人宅の家の形まで細かく描かれていたが、U37の詳細市街地図では個人宅の家形図が無くなっている。省略された部分は、その程度だと思う。

最近はPNDの代用にスマートフォンのナビアプリを使う人が増えているため、売れ行きに陰りが出てきてる感のあるPNDだが、このNV-U37には、スマートフォンには代用できない魅力が多々ある。また、従来モデルのU35よりも機能が大幅に向上している。U35にするか、U37の発売まで待つか考えている人は、参考にしてもらいたい。

ソニー・ポータブルナビゲーション nav-u「ナブユー」


いいね!